2015年 03月 31日
春のこと |
まいあさうぐいすが鳴き方の練習をしている。
ぺちゃくちゃぺちゃくちゃひとりごとを言っているみたいで、
ときどきほーっと鳴くのにその続きがうまく鳴けずにまたぺちゃくちゃ言いだすのが可笑しい。
どこの木にとまって鳴いているんだろう、
わたしはまだふとんの中だから確認することができない。
その日はカラスにかぁかぁじゃまをされてどこかへ行ってしまった。
あじさいの、
新しい葉が芽をだす。
冬枯れているように見える枝の先からつやつやした葉がつぼみのようにつきはじめる。
あんなかさかさの枝からちゃんと芽が出てくるのがいつもふしぎ。
冬のあいだも枯れているようですこしずつ準備は進んでいる。
3月のおわり。
さくらが咲いた。
街の空気をひと息に変えてしまった。
みんながあかるいうちからお酒をのむちがう世界にきてしまったみたい。
うす桃色で、
ふわふわして、
風がきもちいい。
さくらが咲くと、
すぐに散ってしまうことを思ってさみしくなる。
すこしでも多く見るために、
夜の散歩に出かける。
にぎやかな公園を抜けて神田川沿いを行くと、
だれもいなくて、
あたまの上でさくらが咲いている。
また別のしずかな世界。
とおくでだれかがだれかを呼んでいる声がした。
暗がりからしゃかしゃか音をたててちいさな黒い犬が走ってきた。
みみをぴんと立てて、
わたしを見て立ち止まる。
しばらく見つめ合うが走って行ってしまった。
また呼んでいる。
落ちてないよね、
と川をのぞいているがあわてた様子はなく、
のんびりと呼んでいる。
1時間歩いたけどまだまだ歩けると思った。
未来は、
やってくるものでも、
追いかけるものでもなくて、
わたしの上にさんさんと降りかかってくるものなのかもしれない。
太陽のひかりのようにさんさんと。
くもって見えない日も、
どしゃ降りの日も、
まぶしすぎるくらいに照りつける日も、
ちゃんとそこにある。
おおきな木のようにどっしりと、
両手をひろげてみる。
ひろげた指先に花が咲いてしまえばいいのに。
さくらみたいに。
花はよろこびのしるし。
ただここにいることのよろこび。
どんな日も、
さいごには、
あたたかい余韻だけを残していく。
何度か来てくれている女子高生が、
帰りぎわ、
こちらを振り返る。
春の風に、ふわり、
髪がゆれて、
ごちそうさまでした、と笑う。
あまりにもみずみずしいくったくのなさ。
その瞬間は、
春そのものを見ているようでした。
やってくるものでも、
追いかけるものでもなくて、
わたしの上にさんさんと降りかかってくるものなのかもしれない。
太陽のひかりのようにさんさんと。
くもって見えない日も、
どしゃ降りの日も、
まぶしすぎるくらいに照りつける日も、
ちゃんとそこにある。
おおきな木のようにどっしりと、
両手をひろげてみる。
ひろげた指先に花が咲いてしまえばいいのに。
さくらみたいに。
花はよろこびのしるし。
ただここにいることのよろこび。
どんな日も、
さいごには、
あたたかい余韻だけを残していく。
何度か来てくれている女子高生が、
帰りぎわ、
こちらを振り返る。
春の風に、ふわり、
髪がゆれて、
ごちそうさまでした、と笑う。
あまりにもみずみずしいくったくのなさ。
その瞬間は、
春そのものを見ているようでした。
by kibicafe
| 2015-03-31 23:32
| まいにち